茂木健 | hillbridge

茂木健

茂木健の新刊新書がいつもと違う雰囲気なので購入してしまった。「思考の補助線」。いつもの新書よりも読みにくい。対談じゃないってこともある。でも、いっき読みしてしまった。こういう一見誰に向けて書いているのかわからない文章って、自分のために書かれたものじゃないかっていう感覚に陥る。日本中にそう思っているひとたちがが少なからずいるのかな。わからないからこそみえてくる世界がある。そこからなにかが生まれていると僕は信じる。そんでもって、彼をかう。

茂木健の活発な活動の根底にあるのが、悩みとか絶望とかデッドエンドみたいなことらしい。本物の絶望とか怒りが思考の糧になるのだ。それは、明示的で綺麗な物語を求めようとする近代論者(信奉者)にも、細かい話に終始して戯れるだけのポスト・モダン論者にもない哲学である。しかし、結構そうした悩める人間みたいなモデルのほうが、古典的だし、今の世には通用するのだと茂木健はいっているようだ。文系と理系を超えるとか、領域横断とかいう薄っぺらいかけ声にはない、肉声が聞こえてくる。

ビジネス書みたいなお得感はまったくないけど、そんな本たちよりよっぽど元気になれる。でも、売れないんじゃないかなぁ、この本。わかりにくさを標榜してるんだもん。(敬称略)