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カード・ゲームで科学技術を議論する

TBをいただいた、w_m.info のエントリーで、科学技術と社会の問題についてみんなで考えるカードゲームのDemocs が紹介されていた。とてもおもしろい。


ぱっとみたところは、ただのカードゲームじゃなくて、かなり吟味されて作られているようだ(専門家の協力もかならずはいっていると思う)。


いつか、時間をつくってやってみたいな。


Conversation Guidelineがなかなかいい感じなので紹介する。(大きな読み間違えをしてたら、指摘してください。)


1. Speak for yourself and not for others.


たしかに、誰かのために主張しても、あまり説得力がないし、正々堂々とした議論にならないかも。まずは、自分のためにしゃべる。


2. Allow others to finish before you speak . Listen well.


よく聴くこと。これができないひとのなんと多いことか・・・(自戒もこめて)。


3. Ask questions (????) as well as making statements(!!!!).


質問をすることで、会場を静まり返すひとって時々いますね。それは、おうおうにして質問者がどういった立場で、どういった考えから質問をしているのかすらもわからない時かもしれない。


4. Explain what you think and feel.


結局、それが一番大事。でも、6.とのセットで。


5. Welcome surprise or confusion as a sign of learning.


これが、なかなか難しい基準。でも、いい心構えだと思う。


6. Respect differences in opinion. Find where you agree.


これも、なかなかできない。とくに、専門家と言われるひとで、これができないと、なかなか手に負えない・・・。ちょっとはうなずけるところを持っておく(ちょっとは無理矢理でも)のが、義理人情というものか。


7. Share your life experiences and knowedge - it's valuable.


経験者は語る。というやつですね。どんな深淵な理論や哲学よりもリアルだったりします。

独立系メディア in 札幌

札幌の独立系メディアのBNN の市民記者に会った。

JANJANや日刊ベリタのサイトにはいったことがあったが、札幌にもありましたか。。

しかも、ちょっとググってみたら、その二つの並んで論じられているのも発見。

●新たなニュースメディアとしての独立系ニュースサイト(吉田則昭)

http://homepage3.nifty.com/n_yoshida/chap4_news_site_2004.pdf

市民記者になると、一本1000円という話も本当のようだ。

札幌の緑と東京の緑

長いことこのブログをほうっておいていたら、大量のコメント・スパムが来訪していた。

そうこうしているうちに、札幌の桜も散り、緑も濃くなってきている。先日、東京に行ったのだが、緑の濃さに衝撃を受けた。色彩感覚というのは、住んでいる土地に左右されるのであろう。山手線の車窓から、ビルの合間をぬって現れる緑にいちいち小躍りしている自分がいた。きわめつけは、K陵中学校の前の通りの緑だった。通学路であった小学校6年ぐらいのときに、すでに私の「原風景りすと」の登録入りをしていた。まあ、校庭の脇の緑と街路樹があいまってちょっとした緑のアークをつくりだしているだけなのだが、私にとっては大事な路なのだ。

Mさんが推薦していた保坂氏の「カンバセーション・ピース」を読んでいるところだ。この小説の主人公は(というか作家は)自分のみた風景とかそのときの意識とか記憶とかに、しつこくこだわっている、ちょっと異色の小説だと思う。それでも、読むのにそれほど違和感がないのは、だれしも慣れ親しんだ風景や感覚について、ふと思い起こしたり、不思議に思ったりした経験があるからだろう。

多くの場合、人間はその時その場所のことを考えるのにせいいっぱいだ。人生はあんまりとまってはいられない。でも、この小説の主人公のように、時間や空間をいったり来たりして、ほとんどどうでもいいことを日がな考えていく人がいることで、世界のなにかとても大事なことが守られているような気もする。うまく表現できないけれど、そういう人がいることで世界との距離を調節してくれているような感じ。

昔、下北のビレッジ・バンガードという変わった本屋さんで、保坂氏の評論集みたいなものを立ち読みしたことがあるという記憶があるが、そのおぼろげな記憶にもとづくと、彼はとおおっても言語論とか批評理論とか好きそうだった。いわゆる、なんちゃら主義には詳しそうだった。しかし、小説となると、お堅い言葉はまったくなしだ。かといって主人公の言葉の節々から現象学とか言語論とかがまったく透けて見えないわけではないのだが、とにかくその場の登場人物たちのコミュニケーションのなかに真実(と思われるようなもの)を見つけ出そうという姿勢が、一種の普遍性を持つための手法に結実していると思った。

本日のお買い物:
「VOL 運動/芸術/理論 VOLUME ONE 政治とはなにか VOLUME TWO アヴァン・ガーデニング」

*講談社のRATIOにつづいて、またもや以文社の現代思想系雑誌が創刊。最近こんな感じの雑誌が多いような気がする。いま、書くことでどれだけのことができるのだろうか、という焦りも感じられないわけではない。でも、読み手としては、そんな大上段の構えの後ろに垣間見える、私だけでは知りえなかった世界との出会いがありがたかったりするので、気楽に読むことにしよう。

サマースクール情報(科学コミュニケーション、科学論等)

カナダのバンフにある、バンフ・センターでの2週間のサイエンス・コミュニケーションのコースの締め切りが延びたらしいです。科学者と科学コミュニケーターがいっしょになって、作品を仕上げるそうです。おそらく、そういう人たちが集まってきているのだろうと推察されます。

http://www.banffcentre.ca/programs/program.aspx?id=527


サマースクールといえば、去年私が参加したルンド大学のサマースクールは今年も充実しています。

http://www.icomm.lu.se/summerschool/index.html


フラーは「無責任権力(Minogue)」であるジャーナリズム論でまた物議をかもすみたいだし、シェーマーはユートピア二ズムを軸に去年よりも筋の通った論考を進めるみたいだし、ハレは音楽の心理学についてさらに論考を進めるらしい。今年はあたらしく国際紛争解決の専門家らしき方もいるみたいです。さらに、客員で社会学や哲学の先生たちが数人いるし、学生はいろんな分野と国からきています(スウェーデン政府の援助で旧ロシアの国からもきている)。もし、ある程度英語ができて、知の巨人の肩に乗ってみたい方には大推薦いたします。


ちっちゃい科学とちっちゃい市民(デモス報告書)

同僚との会話中、ふと思い立ち、イギリスのシンクタンクの「デモス」のページに久々に行く。
http://www.demos.co.uk/


Governing at the Nanoscale
http://www.demos.co.uk/catalogue/governingatthenanoscale/


ここ一年ぐらい走っていたNanoDialogueというプロジェクトの成果だ。
イギリスは、GM作物・食物でまずいパブリック・コミュニケーションを経験しているだけに、いわゆるナノテクの議論は冷静に行っていこうとしている。


報告書は、多くのインタビューとフォーカス・グループ・インタビューの結果で成り立っている。流れとしては、まずGMを振り返り、ナノテクで議論されている論点を洗い出し、そのなかであられるimaginariesについて区分しながら論じ、そしてフォーカス・グループででてきた市民の声を丁寧に拾っている。特に、5つのimaginariesに分けて論じているところは、「抽象論」とか「イメージの問題」だとか、たんなる「誤解」だとかで片付けられがちな問題をうまく切り取っている(のではないか)と思う。斜め読みだったから、もう一度読もう。


研究機関、科学者、社会科学者、市民がかかわってここまで真面目にナノテクノロジー(ナノサイエンス)について考えようとする試みは他にないのではないだろうか。読み物としても、科学技術社会論の基本的概念は踏まえているし、科学者を含めた市民(科学者も市民だし)を巻き込みながら進める研究(実践研究とでもいおうか。ちなみに、Public Sociologyなる概念をこの報告書ではじめて知った)の手本としても、とても参考になると思う。


とくにフォーカス・グループという調査手法は、マーケティング調査ではよく使われているようだが(そういえば、最近シンクタンクで働く友人へインタビュイーを斡旋した)、社会問題や政策に関わる調査でも、もっと使われるべきかもしれない。


ちなみに、このプロジェクトには、Hugh Hartfordという映像作家も関わっている!!


★Nanoscientists Meet Nanopublic


は、上記のホームページで見ることができる。ちょっときついアクセントの人もいるけれど、雰囲気はよくつたわってくる。このかっこよさには、衝撃的。こんなんやってみたいっす。

バザール・カフェ

京都にあるバザールカフェについて

http://plaza.rakuten.co.jp/herbnoaruniwa/

http://www.kanshin.jp/chizai/?mode=keyword&id=237173


もう少し、つっこんだ話し。少し昔の記事だけど、言っていることはまだまだ新しい。ある意味、サイエンス・カフェの上をいっていると思う。

http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/artscape/special/0007/artcafe/taiwa_1.html



京都に行ったら、行ってみよう。

札幌の「みんたる」もこのくらいのスペースがあればいいのにな。


ふと、エッフェルさんがパリに作ったアーティストの共同住宅を思い出した。

蜂の巣っていうフランス語の名前だった気がする・・・。


Call If You Need Me

先週末、手稲山にある北大の山小屋で一泊した。
市内から30分ぐらいで、近いことは近いのだが、思っていたよりもずっと山の中だった。
そして、車道から小屋までの道はまだまだ深い雪に覆われていた。。。
ついたパラダイス・ヒュッテ(すごい名前)は、とても堂々した、感じのいい山小屋であった。

山小屋といえば、ということで前日に小説を買ってしまう。
村上春樹訳のレイモンド・カーヴァー全集の最終巻だ。

カーヴァーは、ずっとまえに短編集を買ったことがあったが、そのときは正直あまりおもしろいとは思わなかった。

でも、あまり期待しないで入った本屋で見つけたことと、ちょうど良い感じの本の大きさと装丁で買ってしまった。(装丁 和田誠)

その日に読んでしまった数編も、小屋でうつらうつらしながら読んだ数編も、少しの間だけ心にとどまり、気持ちよく消えていった。

後半部分は、インタビューで埋めつくされていて、彼自身がアルコール依存症に苦しんだことが時々でてくる。書き手の人生を垣間見るのも、それはそれで読みが深まるというものだ。

建築環境の宿谷さん

新しく届いた「市民科学」 にでていた宿谷昌則さんは面白そうな人だ。
http://www.yc.musashi-tech.ac.jp/~shukuya/

エクセルギーという考え方、ユニークな研究と教育方法(ゼミのやり方とか)、小学校と地域と組んだ環境教育活動など、興味深い実践をいくつもしている人のようだ。しかも、肩の力がぬけているような感じが素敵です。

ちなみに、最後に北海道の北方建築研究所の話がでてきた。
http://www.hri.pref.hokkaido.jp/

岩村研究室とも隣だったり。

短いですが、ここまで。

「改定臓器移植法案」と「尊厳死法案」

「談」の編集長のブログ で、今国会で成立されるかもしれない、「改定臓器移植法案」と「尊厳死法案」について紹介されていました。喫緊の問題だと思うけれど、コメントする力量もないので、広く読んでもらうことだけでも加担させていただこうかと。

「談」は、現代思想と科学論がビミョーにブレンドされた良い媒体だ。しかも、インタビュー主体のものだから、適当に手がはいっているし、インタビュイーの著書からの適当な抜粋があったりしてよみやすい。(札幌ではどこで手にはいるのかな)

知のウェブマガジンen
の存在は、今の今まで知りませんでした。ざっと書き手を見た感じでは、これも同じような傾向があるかも(かぶっている人も多いです)。こっちのほうが、科学者が書いていたりしていて、科学の読み物としての側面がちょっと強いかな。

これだけをタダで読めるのだからありがたい。塩とたばこのおかげです。(という言い方があっているかどうかはわかりません)

英DNA関連ニュース

今日は、DNAのお話をたっぷり聴いた。おもしろいことばかり。知らないことばかり。研究者がDNAを、対象化して話していることに不思議な感覚を覚える。

最近、すっかりやらなくなってしまった、英紙のピックアップ。
DNA関連の最近のニュースより。

●500,000 people, a span of decades - and a waste of time and money?
http://www.guardian.co.uk/science/story/0,,1715896,00.html

▼50万人規模をめざした健康調査がはじまるとのこと。遺伝子と環境が、健康にどう影響しているかを調べる、The Biobank Project。

しかし、多額の予算をかけるこのプロジェクトに疑問を投げかける声もある。

"Most [scientists] think that it's not a terribly good way to spend that amount of money," said Hilary Rose, a professor of the sociology of science at City University. "What is the public likely to get from it? It's not very clear what its aims and objectives are."

もちろん、調査の意義をとなえる、チーフ・エグゼクティブ。

"It's going to be a unique resource for looking at a range of different risk factors as a cause of a very wide range of diseases," said Professor Rory Collins, Biobank's chief executive.

しかし、どうやら、このバイオバンク・プロジェクトは、もともと遺伝の調査をするためにはじまったのに、いつのまにやら疫学の調査になってきている、というところにもちょっと問題があるのではないか、ということのようだ。

結局、研究の目的やプライバシーの問題についてもっと議論するべきだという主張が、それとなく説得力をもつ。

The critics say Biobank should go back to the drawing board. Dr Wallace said biobanks were "potentially useful" but "they really need to ... have a much more open debate about issues like privacy and what the research is for".

●'Pharmed' goat drug not approved
http://news.bbc.co.uk/1/hi/sci/tech/4746736.stm

GM山羊での製薬がThe European Medicines Agencyによって却下される。リスクを上回るベネフィットを示せなかったかららしい。一時期、この手の技術への投資が盛んになったが、これでさらに厳しくなるような論調で書かれている。

●How DNA may tell police the surname of the criminal
http://www.guardian.co.uk/science/story/0,,1715023,00.html

▼イギリス男性の場合、Y染色体を調べることで、犯罪者の苗字が高い確率でめぼしがつくようになるだろうとのこと。典型的な名前ははぶかれるらしいから、名前で検挙率が変わったりして。